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子ども手当の理念は間違っていない
評価:
上野 千鶴子
¥ 693
コメント:政治における家庭内労働の不当さをよく分析した名著だと思う。

 イギリスの暴動はすごかった。
 暴動というより、ただのチンピラの群れである。お前ら狂暴化したイナゴの群れか?
 燃える街と群衆が覆面で略奪する様はバイオハザードか28日後(ダニー・ボイルだわ)で目覚めた世界。日本がああいう状況になった時、持たざる者の私も案外嬉々としてSONYの倉庫に略奪に行ったりするのだろうか。それとも制止する方向に回るのか。震災では大規模な略奪こそ起こらなかったが、「持たざる者」が絶対に這い上がれないという諦観を持ち、なおかつ、罪が公平に罰せられない社会になると途上国のような(イギリスのような)暴動が起こるのだろう。幕末の米騒動みたいだと思った。

 世界経済が悩ましい。異常な円高。私が怖いのは今の円高ではなく、製造業が打ちのめされて、日本が何も輸出できなくなってから唐突に訪れるであろう急激な円安である。数年前100円でもびっくりしてたのに、今や70円。ここから120円まで揺り戻すと物価はいきなり1・5倍に跳ね上がるということだ。ドルに力がないことはともかく、日本の外交力の無能に付け込まれているのだろうとは思う。
 原発問題はあまり語りたくはないが、民意が脱原発なら、脱原発・卒原発の枠組みを考えるのが本来の政治なのだろうが、いまだその方向で動いてるとは思えない。
 日本人は模倣は得意でオリジナルが下手だと言われたのを裏付けるように、今までのシステムを抜本的に変更するのが不得意だと思う。大相撲が多数の力士の首を切るだけ切って、八百長再発を防ぐシステム変更(たとえば幕内と幕下の給与格差とか)を何もしないで再開したように、ストレステストだの公聴会だの、ハードルをクリアしさえすれば元の通りに原発再開にこぎつけられると思ってる政治家の腹と無能にうんざりする。しかもその公聴会もメールもはやらせときてる(ー_ーゞ

 民主党が子ども手当を廃止して、児童手当に戻すという。
  名を捨て、実を取ったというのだから仕方がないが、腹に据えかねるのは自民党の石破がここに来て、
「子ども手当の理念の間違いとばらまき政策であったことを認めさせなければならない」などと息巻いてることである。オカマの私が何度も繰り返して言うのもなんだが、子ども手当の理念は正しい。ばらまきというなら、自民党が原資もないのに右肩上がりの人口増予想をねつ造して、不当に高い年金を旧世代にばらまき、余剰まで使い込んだことこそ、ばらまきである。
 子供に選挙権はないが、老人にはある。これこそ票目当てのばらまきでなくてなんだというのだろう。

 日本の児童福祉の水準は先進各国に比べて相当に低い。ただ、そのことばかりではなく、私が子ども手当の理念を正しいと論じるのは、日本の政治家は女の家庭内労働をいまだ無料サービスだと思い込んでいることに怒りを覚えるからなのだ。
 私は主婦でもないし、女でもないが、子供を育て、家事をし、老人介護をするというのが、市場に出れば立派な労働であることは理解している。自分の家族の面倒を見るくらいなら、託児所職員か、病院の付添婦をしたほうが金になるのは当たり前の話。家事については誰しもがすることで健常者に援助の必要は感じないが、子供と老人は別だ。しかし、それにまつわる家庭労働を今の時代になっても、政治家がそれを低く見積もるのは非常に不当だと感じる。(このへんは上野千鶴子の受け売り)
 財政が苦しいのだから高所得者の手当てを節約したい気もわからなくはないが、事務量の増大を考えると不毛な仕分けで、子供を養育しているというその一点において、また国が少子化を望まないなら、子供のいる世帯への金銭的援助は至ってまっとうな政策なのである。

 いちいちデータ出してごちゃごちゃ書こうという気力はないが、子ども手当てじゃなくて児童手当を、というなら、自公もその必要性は感じていたはずだ。で、最終的に子供のいる世帯に支給されるなら、それが子ども手当てであろうが、児童手当てであろうが、本来なら全く関係ないはずである。しかし、そこをごねる。自分たちの政党が立ち上げた政策なら、糞も味噌で、相手の政策は味噌も糞だ。茶番劇にしか見えない。
 子育て世帯からすれば、名前なんかどうでもいい。どちらの政党の政策かも論外。いつ、いくら、どういう形で支給されるかだけが問題なのだ。
 
 自民も、民主も結局は同じ穴のムジナだ。実をとった民主のほうがいくらかましな気もするが、それにしても、与党のその程度の話で相手を説得できない交渉力のなさを恥じる。一方で野党の自分たちの野望をかなえるためなら公益も人心もお構いなしという節操のなさ、恥を知れと言いたい。
 説得できず、折れてしまえる程度のものは「理念」ではないのだ。本来理念たるものが、いちいち政争の具にされ、意味不明なところに着地する。あきれるばかりだ。
 ポスト菅が誰になろうと期待できない。ほんとに汚い顔ばかり並んでどうしようもない。この政治家の(オトナの)顔ぶれが日本の実力だろう。

 国民にこの国には正義がないと思われたら、日本もそのうちイギリスのように暴動が起こるのだろうなと思った。

子供貧困大国日本:http://www.geocities.jp/yamamrhr/ProIKE0911-116.html

児童給付はいわば国家が子どもであることに対して支払う給料と考えてもよい。労働法では14歳以下の子どもの就労を禁じているのだから、国家が法律で禁じたことに対して、国家は彼らを養う責任を持つと考える。
・・・80年代スウェーデンでは子どもひとり月額700クローネ(月額実勢7万円)・・・
これだと子ども3人生んだら12万円になる。悪くない額である。(子どもの数が増えると給付も増えるので子持ち女に給付金目当てによってくる男も多く再婚率も高い)・・・
そうなれば児童虐待もよほど少なくなるだろう。子どもは親にとってカネづる、社会からのお預かりものになるからだ。
(上野千鶴子・『老いる準備』 161ページ)
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