<< 綺麗な男はどんな男?~大奥&黄金を抱いて飛べ&月魚~ | main | タトゥーは悪か?~思想矯正番組『私の何がイケないの?』~ >>
往くおっぱい、来るおっぱい~性同一性障害ドキュメント2本~
 石原が辞任した。次の知事が決まるまで予断を許さないが、誰がなっても今よりはましになるだろうと思う。都知事から一般人になった石原はたとえ新党を立ち上げようと影響力を落とすだろう。本人は意図してないだろうが、日中関係改善のきっかけになるかもしれない。まずはこの僥倖を喜びたい。
 政治が右傾化するのはマイノリティにとって恐ろしい。アメリカ大統領選はまさか同性婚支持を表明したオバマが落選することはないだろうと思うが、それでももしロムニーが当選してしまったら、ゲイの市民権運動は後退を余儀なくされるだろう。同様に橋下(はしげ! )が週刊朝日を叩いた一連の騒動も大層おぞましかった。朝日らしからぬ特集記事だとは思ったが、「取材拒否」で結局朝日新聞ごと頭を下げてしまった。私自身も新潮や文春の同和記事が出たときは眉をひそめたものだが、朝日ともあろうメディアが出自記事をかまして橋下の宣伝戦略に載せられてしまうとは!維新の活動はとかく、きな臭く胡散臭く気味悪い。

 そういう季節というわけでもあるまいが、性同一性障害の特集とドキュメントを立て続けに見た。ひとつはFNSスーパーニュースでやった『私(♂)が私(♀)に変わるとき』、もう一本は日テレで深夜に放送したNNNドキュメント『カレシのおっぱい』の2本である。
 1本目の『私(♂)が…』の主人公は浜崎あゆみのバックダンサーまで務め、AKBの振り付けまで考える『HIDE』さん(MtoF)が、自分のその男性としての体が耐え難くなり性転換手術をしてダンサー『LICO』に生まれ変わるまでを追っている。
 で、NOAHダンスアカデミーから拾ってきたので間違いないと思うのだけれど(万一違ってたらごめんなさい)、たぶん右画像が男だったころのLICOさんで、私としてはこっちの方が萌えてしまうので申し訳ない。だって、男時代の体が筋肉の切れがよくって超綺麗なんだもん。でも、彼女は今はおっぱい星人です。

 一方の『カレシのおっぱい』の主人公の亀ちゃんはFtoMで彼は自分の体にメスを入れることにためらいを持っている。同棲する彼女がいて、私生活に決して不満があるわけではない。短髪に刈り込んだ容貌はダンプ松本に内山君を足したみたいなぽっちゃり君で、男に見えないこともない。でも、「レズビアン」のままだと結婚はできない。町中で彼女と手をつなぐこともままならない。亀ちゃんは「おっぱい」をとって、戸籍を転換すればパートナーの麻衣ちゃんとの間もうまく行くように思って、「麻衣ちゃんと普通に生きていきたい」から今まで35年間一緒に生きてきたおっぱいとの決別を決心する。

 あたしは自分の男の風貌についての違和感をそんなに持たずに生きてきたのでGIDの人の心の向き方には若干共感しにくい。手術の動機もそれぞれ違うしね。でも、なんかいろいろ引っ掛かったの。
どちらの報道も当然なんだけど「障害」という言い方をしていて、特に亀ちゃんの場合は障害じゃなくて社会の都合だよねーという印象を強く持った。亀ちゃんはおっぱいをとりたいとは思ってないんだもん。健康な体に傷をつけるのは本意ではない。手術後、そのことに対する申し訳なさが一気に彼女に押し寄せる。
 一方で、LICOさんの心の向き方はある意味「障害」かも知れない。彼女はトップダンサーなのだから、その肉体的な機能に絞って言えば、男性で居続けることもできなくはないように思う。フェミニンなスタイルをとるユニセックスな存在もダンサーなら許されるだろう。でも、彼女はその状態で舞台に立つことができなくなった。醜形恐怖に近い心性ではないかと思う。変な話だが、パンツを穿かないで表に立つのが恥ずかしいようにおっぱいを付けないで人前に出るのが耐え難くなった。

 LICOさんの手術を批判しているわけではない。むしろ、こういう事例をその世界で有名なアーティストがテレビで告白し取材を受け、それが皆に報道されるというのは本当にありがたく嬉しく、勇気づけられることだと思う。結局、GIDやLGBTの人間が当たり前のようにメディアに露出すること以外に社会を変えていく方法はないように思うから。でも、やっぱ亀ちゃんの手術の成り行きを見ながら、やっぱり、変なのは我々じゃなくて社会だよね、と改めて思った。彼女には男性の肉体を強く望む動機がない、しかし、それをクリアしないと「結婚」はできないというのだから。その違和感を社会で共有したい。

 ゲイである私が結婚することはないと思う。だって私は女性の体になりたくはない。また女性の体になった元男性の同性愛パートナーを愛せない。男性の肉体で男性の肉体を持つ人を性愛的には求めている。これは変えられないことだ。今更そのことを「病気」や「障害」だなんて思えと言われても思えない。だったら、それを病気や障害扱いする人や社会に病理があるということになる。少なくとも、今現在の日本の情報流通量と意識下に置いては、そういうことだと思う。その程度には日本は成熟しているのではないか。

 オバマに再選してほしい。日本で同性婚なんて言うのは夢のまた夢だと思ってしまうのだけれど、間もないアメリカでそれが完全に合法化されたら、日本の法律改正も決して見えない未来ではなくなる。そうなっていくために、LICOさんのカミングアウトも、亀ちゃんのおっぱい切除も役に立ったのだと思いたいものである。

*LICOさんも元写真だけ掲載して悪いなーとも思ったんだけど、術後の写真はブログにあたったほうがいいので皆様そちらをご覧ください。

ブログ『LICOは毎日元気です。』
彼氏のおっぱい(日テレ):11月4日 BS/CSで再放送!
カテゴリ:gay society | 01:50 | comments(0) | trackbacks(0) | -
スポンサーサイト
カテゴリ:- | 01:50 | - | - | -
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
トラックバック