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オバマケアとTPPが日本の医療を壊しに来る
評価:
堤 未果
¥ 778
コメント:TPPの本質が自由貿易などではなく、市場の独占と囲い込み、アメリカに都合のいいルール作りであることを、無能な国会議員は知らなくてもせめて国民には知っていてほしい。

同性愛者差別を批判 オバマ氏、ケニア側は反発

ケニア訪問中のオバマ米大統領は25日、首都ナイロビでの記者会見で、アフリカで多くの国が同性愛を法律で禁じていることについて「国家は性的指向で市民を差別すべきではない」と批判した。同席したケニアのケニヤッタ大統領は「同性愛者の権利は取り組む必要がある問題ではない」と反発した。
米国とケニアはイスラム過激派アルシャバーブの掃討作戦で協力。オバマ氏は経済成長を続けるアフリカ諸国との関係を強化したい考えだが、人権問題をめぐる溝が浮き彫りとなった。
オバマ氏は米国での人種差別問題を引き合いに「人が(周囲と)違う扱いを受けると何が起こるか、自分には痛いほどよく分かる」と強調。これに対し、ケニヤッタ氏は「われわれの文化や社会で受け入れられず(米国と)共有できないものがいくつかある」と指摘した。
ケニアでは同性愛をめぐり、ルト副大統領も5月に「この国に同性愛者が入り込む余地はない」と発言した。(共同)
 就任以来、オバマはいい人だと思っていた。
オバマ、核廃絶、すげー!オバマ、同性婚合法化!キャー!オバマケア、オバマは無保険解消に取り組んでる、さすがオバマ。オバマは格差対策にも熱心でアメリカではフードスタンプという食糧配給をやってるのか、日本でもすればいいのに…。ブッシュの始めた戦争を終わらせる努力をしているオバマかっこいい!…とか思っていた。まあ、ブッシュかオバマかと言われれば、オバマに善良さを見るのは世界の人100人に聞きましたでも、80人くらいがそう答えるように思う。

 堤未果『沈みゆく大国 アメリカ』を読了。
堤さんの本はまだこれしか読んでないのだが、2009年新書大賞を受賞した『ルポ貧困大国アメリカ』(1&2)に続くアメリカが何に支配されているかをレポートした好著でTPP参加の警鐘で今年続編も刊行された。
 衝撃的でした。よく香港で病気をすると破産だ、とか海外の高額な保険事情が語られるが、どうして高額になるのか、それはきっと日本の国民健康保険のような制度が無いからだよねと理解していた。ところが、アメリカの保険事情はまったく正反対。
 オバマケアの成立が、何とアメリカ各所で多くのアメリカ国民の生活を破壊しつつあるのだ。
 オバマケアについてのオバマ大統領の言葉は以下のようなものだ。
「我々はあなたが請求される医療費の自己負担額に限度を設ける。誰も病気を理由に破産することがあってはならないからだ」
ところがオバマケア成立後、加入していたはずの保険から支払いを拒否され破産するアメリカ人が続出している。
 本書で紹介されている近しい例をあげよう。

 フロリダの会計士 オスカー・ディアズは父親を骨髄腫でなくしている。ガンと診断され10か月後に亡くなるまでの医療費が86万1345ドル(9000万円)持ち家を売っても借金は返せず、最後はトレーラーハウスで死んだ。若いオスカーは高額な保険料を歳を取ってから払うつもりで無保険状態だったが、そこに運悪くHIVの陽性結果が出た。あとから保険には入れず、仮に入れても法外な保険料を請求された上、既往歴の病気はカバーされない。HIVの増殖を抑える薬の費用は年平均2万ドル、保険があれば月50ドルほどで済むが、無保険では薬代だけで破産してしまう。窮地に陥ったオスカーは会社を辞めて最底辺層の保険「メディケイド」への加入を模索するが前年の年収が高くて申請は却下。窓口担当者はこう言った。
「エイズを発病してから来てください。それなら働けない証明が出るので障害者枠に入れますから」
そこに出てきたオバマのすすめるオバマケアは持病による加入拒否や、病気になってからの一方的な解約を違法としていた。彼は天の助けとばかりにオバマを支援するボランティアに参加し、ついには僅差でオバマケアは成立を勝ち取った。
 これで保険に入れる!というオスカーの希望は無残に打ち砕かれる。
オバマケアは保険の加入拒否こそ認めないが、薬価は値段ごとに7つのグループに分けられ、高価な薬ほど患者の自己負担率は高くなる。保険金が払われる前に、自己負担額5000ドルを支払い、更に毎月の薬代24万円の50%を自分で負担すると言うのだ。更に24種類のHIV処方薬のうち、保険が適用されるのはわずか6種類。リスト外の薬はもちろん100%自己負担、更に旧来あったHIVなどの救済のための基金もオバマケアに伴い廃止されていた。国内トップレベルのがんの研究センターは保険のネットワークから外され、更にオバマケア開始後、保険適用の9割の薬価の負担率が25%から50%に引き上げられた。
 こうなると保険に入っていても低所得者が重病(日本では普通に誰でも手術を受けられ、完治するようなレベルの病気でも)で治療費を払うのは難しい。安楽死の認められているオレゴンの保険会社は、治療費の保険適用は無理ですが安楽死薬(50ドル)は自己負担ゼロで済みます、と言われるそうだ。

 さらにオバマケアは雇用にも影響している。制度は社員50人以上の全企業の従業員に健康保険の提供を義務付け、結果として職員、会社員の非正規化、教職員組合の解体、が進んだ。学校ではフルタイムの教師に保険を提供することを避けるために、週30時間の正規教師を週29時間の非常勤に降格した。

 どうしてこんなことになってしまうのか?それはアメリカでは医療は福祉ではなく儲かるビジネスだからだ。今のアメリカではその強欲な価値観がすべてを支配している。
 ホワイトハウスには、まるで沖縄駐留米軍とアメリカを繋ぐそれのような「バックドア」がついている。その行き先は民間企業で、政府内部に自由に入り込み企業活動のためにロビー活動をしている。彼らは自分たちの企業がビジネスをしやすい環境を整備する法律や規制緩和を行政府に実行させると、莫大な地位と報酬が待つ外に出ていく。全国会議員535人にロビーストが1議員あたり13人常時張り付いて圧力をかけているそうだ。
 つまり、オバマケアは医療難民を救う制度などでは全くない!今まで保険に入れなかった底辺の人間に無理やり高額で役に立たない保険に加入させ(不法移民500万人に在留資格を与えるという一見人道的な話も、実はこれでアメリカの保険市場は莫大な利益を濡れ手で粟で得られることになるだろう)保険会社が詐欺的に利益を上げるシステムなのだ。では、そんな法律をどうしてオバマが成立させたか、それはやはり「金」のためだろうとしか言いようがない。ここまで来て、アメリカ大統領選のあの莫大な選挙資金はどこから出ているのか、と納得がいった。
 アメリカ政府はアメリカ国民のために仕事をしているのではたぶんない。ごく一部の、ピケティのいう1%の富裕層(大統領も含む)のためだけに仕事をしているのである。
 こうなるとオバマの言うことなんか信用がおけない。アメリカの大統領なんてものは、悪魔に魂を売って初めてなれるものではないのか、と。冒頭の“「国家は性的指向で市民を差別すべきではない」と批判”などというものは、同性愛コミュニティへのおためごかしで言っているだけで、本質的に彼はあまり興味がない、いわゆるピンクウォッシュじゃないのかと思ってしまう。「人権」というカードで他国を攻撃するアメリカが世界で最も非人道的な「民主主義」国家なのである。
 
 そして自国民さえ、詐欺的な金儲けのカモにするアメリカが、日本と言う巨大な市場を指をくわえてみているだろうか。すでに着々と日本の医療市場、介護市場はアメリカの標的に入っている。
 TPP交渉のISDN条項と言うのをご存じだろうか。これはTPP加盟国に対して、企業がその国の市場が開かれていないなど、裁判に訴えることができる条項である。過去にアメリカとの間のFTAで訴えられたことのあるオーストラリアは頑強にこれに反対しているそうだが、日本では大きく報道されていないために多くの人が全く知らない。アメリカはこれをてこに日本の保険制度を破壊して、利益を得ようとしているのだ。
 具体的には「日本国内で薬価を国が決めていることや、皆保険制度が民間の保険会社や製薬会社の営業を妨げている、日本政府は賠償して制度を改めよ!」という訴訟になることは間違いない。そしてアメリカの属国の日本がこの裁判に勝つことはない。
 すでにアメリカの意向に沿って、TPPのみならず、密かに日本の医療法が改正され民間企業が営利のために病院経営に出資できるような基盤は整えられつつある。

 堤さんのこの本の続編には副題がついている。
『沈みゆく大国 アメリカ 〈逃げ切れ! 日本の医療〉』
 福祉に漫然と効率を求めてはいけないし、営利を主目的にしてはならない。効率的な医療を追及することは儲からない医療から、人の少ない地域から資源と人材を極限まで奪うものなのだ。
 誰もが歯医者にかかって数千円の負担で済む日本の国民皆保険制度は、日本の数少ない残された宝なのである。くれぐれも、金儲けと自尊心にしか興味のない与党の口車に乗って、見逃して失うことが無いように、しっかり監視していきたい。
 アメリカの金の亡者どもから逃げ切れ!日本!
要点:堤未果『沈みゆく大国アメリカ 〈逃げ切れ! 日本の医療〉』(マチダタイムス)
 
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